とにかくヤバい映画

【オススメ度★★★】ランボー ラスト・ブラッド/怒りの表現はシリーズNo.1?不器用すぎる男の哀しき末路。

概要

シルベスター・スタローンの「ロッキー」に並ぶ代表作で、1982年に1作目が製作された人気アクション「ランボー」のシリーズ第5弾。
グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。
ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。
しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。
娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーはグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。
監督はメル・ギブソン主演作「キック・オーバー」を手がけたエイドリアン・グランバーグ。

感想(ネタバレあり)

平日&コロナにも関わらず結構混雑する館内。
「クリード」は1も2も興行が奮わず、みんなロッキーよりランボーの方が肌に合うのかもしれない。

冒頭から遭難した人を鉄砲水から救ったランボー。軽快なテンポであった為油断していると、実家の農場に意味の分からない地下迷宮を作ってる所で「大丈夫か……?」と不安な気持ちにさせる。
家屋ではなく、地下で精神安定剤服用しながら寝起きしているランボー。ベトコンのトンネルを再現したその空間は、愛する家族がいても過去から抜け出せない彼の苦しみそのものだ。心の傷が癒える日は未だ訪れない。

父親に会いに行こうとするガブリエラに放つ「人は変わらない」という言葉がずっとシリーズを観てきた人には重く響く。
「おじさんは変わったじゃない」と言われても、「蓋をしているだけだ」と答えるランボー。
でも人の本質は変わらないからこそ、ガブリエラには清い心のままでいて欲しいと願っているのだ。彼にとって彼女が希望そのものかも知れない。

そんなガブリエラが人身売買組織に誘拐される。

頼りにしていた友や、父親の本心など、まるで意味がないかのような展開に、胸が痛む。
ランボーも含め「その人の持つ本質」が変化するキャラクターはこの映画に出てこない。脚本も手掛けたスタローンの厳しい目線を感じずにはいられない。

それでもガブリエラを助けに向かうランボー。

だが、奮闘も空しく彼女は人身売買組織により強姦され、薬漬けにされ亡くなってしまう。

亡くなる直前、「もう終わったんだ、悪夢だったと思って忘れて生きればいい」とランボーは彼女を励ます。だが、絶望を体験した彼女の口から「それでも前を向いて生きて欲しい」と逆にランボーを気遣う言葉紡がれや時は、身をつまされる思いであった。
ランボーにとって農場での彼女との生活がどれ程救いになっていたのか……それすら奪っていく世界の残酷さ。

そして……マリアを見送った後の彼の迷いのない戦闘準備シーン。
守るものもない、自分の命すら惜しくない、ただ凶器と化したランボー。
ファンとして気持ちが高鳴る反面、戻らざるを得なかったランボーの心情は計り知れない。

暗闇の中に響く銃声、悲鳴、そして最初に拳を固く握りながら聴いていたドアーズの「Five To One」(映画秘宝の情報によると、かつての仲間と一緒に聴いてた曲らしい)これは彼が毎晩見ている悪夢そのものなのだ。
「俺の悪夢をお前らにも見せてやる!」という恐ろし過ぎる攻撃。
敵のボスを見つけ「あいつは元凶だからもっと苦しめて殺さないと駄目だ」と延命させる思考は、最早完全にホラー映画のモンスターだ。(第一作と真逆……)

串刺しになってほとんど死んでる敵に対し執拗に銃弾を撃ち込む執念。行き過ぎた大虐殺シーンのカタルシスは、ブラック過ぎて笑うしかないが、同時に彼の地獄を追体験している事に繋がっている。

終盤、父親のロッキングチェアに座りながら、確かにいたガブリエラや、戦場での仲間、家族との記憶、それらを忘れない為に、地獄の底にあるかすかな希望を頼りに生きていくと誓うランボー。これ以上の犠牲者が存在するのだろうか。だとしたら非常に悲しい。

2019年製作/101分/R15+/アメリカ
原題:Rambo: Last Blood
配給:ギャガ

オフィシャルサイトはこちら→

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スタッフ
キャスト
  • ジョン・ランボー/シルベスター・スタローン
  • カルメン/パス・ベガ
  • ウーゴ・マルティネス/セルヒオ・ペリス=メンチェータ
  • マリア・ベルトラン/アドリアナ・バラッザ
  • ガブリエラ/イベット・モンレアル
  • ビクトル・マルティネス/オスカル・ハエナダ
  • ジーニー・キム
  • ホアキン・コシオ
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