とにかくヤバい映画

【オススメ度★★★★★】ターミネーター2/不屈の名作!ジェームズ・キャメロンがアップデートさせた「進化」と「深化」とは

概要

ジェームズ・キャメロン監督による大ヒットSFアクションのシリーズ第2作。
前作から10年後の1994年。
未来に起こる機械と人類の戦いを知ったサラ・コナーは精神病院に収容され、後に人類のリーダーとなる息子ジョンは里親のもとで不良少年へと成長していた。
ある日、未来から2体のターミネーターがやって来る。
1体は人工知能スカイネットがジョンを抹殺するために送り込んだ最新モデルT-1000型、そしてもう1体は10年前にサラの命を狙ったターミネーターと同じT-800型で、ジョンを守るため未来の彼自身が送り込んだものだった。
前作では悪役だったアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800が、本作では人間の味方として登場。
ジョン・コナー役をエドワード・ファーロング、サラ・コナー役を前作に続きリンダ・ハミルトンが務めた。
のちに続くシリーズ作品を含めても屈指の人気と評価を誇る一作。

あらすじ

いまだに後続作品に影響を与え続ける「金字塔」

「シリーズものは、2作目が面白い」という定説がある。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)、『ゴッドファーザー PARTⅡ』(74)、『スパイダーマン2』(04)、『ダークナイト』(08)、『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』(14)……そして、言わずと知れた世紀の傑作『ターミネーター2』(91)。

前作『ターミネーター』(84)から約7年の歳月を経て作られた『ターミネーター2』は、社会現象という言葉では軽すぎるほどの多大な影響を世に与えた。直近の公開作でも、『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(18)、『ゾンビランド:ダブルタップ』(19)といった作品の中で本作が登場。

前者では、ドライブインシアターのシーンで本作が上映され、90年代前半という舞台設定を示す方法として使用されており、時代を象徴するアイコンであることがわかる。後者では、なかなか倒れない新型ゾンビをターミネーターに例えるシーンが描かれる。誰もが好きでしょうがない名作であり、本作の名前が1つの定義として、人々の記憶に刻まれているのだ。

その人気度は、数字にも表れている。『ターミネーター2』の製作費は1億ドルと、前作の640万ドルから大きくジャンプアップ。全世界興行収入は約5億2,000万ドルと、爆発的なヒットを記録した。その年の全世界興行収入でも堂々のトップを獲得。ちなみに、2位は『ロビン・フッド』、3位は『美女と野獣』、4位は『フック』、5位は『羊たちの沈黙』だ。本作の売れ行きはすさまじく、前作の興行収入をたった4日で上回った。

日本では57.5億円と、前作の約10倍(5.3億円)となる配給収入をたたき出した。こちらも第1位を獲得。2位以降は『ホーム・アローン』、『プリティ・ウーマン』、『トータル・リコール』、『おもひでぽろぽろ』という結果となった。

第64回アカデミー賞では、6部門にノミネートし、そのうち最優秀メイクアップ賞、最優秀視覚効果賞、最優秀音響賞、最優秀音響編集賞の4冠に輝いた。この年の実質的なライバルは『バックドラフト』『JFK』あたりで、本作が獲得できなかった撮影賞と編集賞は『JFK』が手中に収めることになった。

ヒロインのサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)の息子ジョンを演じた美少年エドワード・ファーロングの人気もすさまじく、日本ではCMにも出演したほど。余談だが、約6ヶ月にわたる撮影中に声変わりが起こり、身長も伸びたため声だけ録音し直したり、身長のつじつまを合わせるためにしゃがんだり、或いはバイクを大きくしたりと人知れず苦労があったようだ。

最強の敵T-1000役でブレイクしたロバート・パトリックは、『ダイハード2』(90)を観たジェームズ・キャメロン監督が抜擢したという。彼は近年の映画であれば『ゾンビランド:ダブルタップ』のルーベン・フライシャーが手掛けた『L.A. ギャング ストーリー』(13)などに出演している。

前作と設定は同じだが、真逆の印象を与える脚本の妙

『ターミネーター2』がなぜこれほどの成功を収めたのか? 技術面での進化も大きいだろうが、やはり1番はストーリーの面白さにあるだろう。今さら説明するまでもないが、本作では「前作の敵が味方になる」という斬新なアイデアを用いつつ、「家族映画」の要素まで取り入れ、まさかまさかの「泣かせる」クライマックスまで、ドラマ性を高めている。本稿では、前作『ターミネーター』と比較しつつ、『ターミネーター2』の魅力を掘り下げていきたい。

前作から約10年後、1994~95年のアメリカ・ロサンゼルス。前作でターミネーター、T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)から辛くも生き延びたサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)だったが、未来に起きる核戦争の引き金となった企業を破壊しようとした結果失敗し、警察の精神病院に収監されてしまった。そんな中、人類の希望となる革命軍の未来のリーダー、ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)を殺害しようと、再び未来から刺客が現れる。液体金属の身体を持つ最強のターミネーター、T-1000(ロバート・パトリック)だ。凶行を止めるべく未来の人類が選んだ一手は、T-800・モデル101型(シュワルツェネッガー)を過去に送ること。T-800とT-1000の死闘が、いま始まる……。

『ターミネーター2』は、前作のフォーマットをほぼ採用する、というシンプルな(それでいて大胆な)ストーリーラインながら、多くの観客を震え上がらせたT-800を「最強の味方」として配置し、「見やすいのに新しい」という方法論を構築した。前作を鑑賞済みの観客であれば、話の展開をスムーズに追えると同時に、T-800の変わりぶりに新鮮なショックを受けるだろう。つまり、前作をある種の下敷き、前振りとして使ったところに本作の巧みさがある。

これが人間であれば敵から味方への転身に「ご都合主義」感が強まってしまうのだが、ターミネーターはあくまで機械。善人が使えば味方になり、悪人が使えば敵になる存在のため、観る者の中でハレーションは起こらない。実際『ターミネーター』では「完全に破壊されない限りは命令に従い続ける」要素が恐怖を存分にあおったのだが、本作では「何があっても守ってくれる」という頼もしさと変わる。設定は全く一緒なのに、受け取り方が真逆になる。このアイデアは、本作でしか機能しなかったものだろう。実に見事な采配と言わざるを得ない。

ここに「機械が心を理解する」という本作の“核”ともいえるテーマが加わると、物語は一気にヒューマンドラマへと傾く。前作で命を落としたジョンの父カイル・リースの代わりを、仇のはずのT-800が担うという勇敢なシナリオ。恐怖の対象だったT-800に同情し、感動するなど誰が予想しただろうか。28年経った今観ても、衝撃的な展開である。

前作のおさらいと進化を同時に描く秀逸な演出

『ターミネーター2』が続編である以上、前作とのリンクはあって当然なのだが、本作では意識的に前作とオーバーラップする演出が施されており、前述したシナリオの踏襲も相まって、アップデート感を強く抱かせる。

冒頭、未来での人類VS機械の戦争シーンから始まる構造も同じだ。戦車のキャタピラーがしゃれこうべの山をつぶしていく場面は、構図からして全く同じ。しかし、「二番煎じ」になっていないのが秀逸だ。というのも、前作ではラスト数分の登場だったメタルのターミネーターがこの後すぐに何体も登場し、前作では数機だった戦闘機が大量に現れ、人類軍の数も大幅に増えている。『ターミネーター』では予算や技術の都合で叶わなかったであろう戦争描写が、スケールアップして描かれるのだ。

T-800の登場シーンも、前作から進化している。『ターミネーター』では出現自体は映っておらず、カットを割って出現後を映すという演出だったのに対し、今回は画面の中にT-800が出現する。映像技術が進歩したため、フレーム内にいきなり現れる=転送シーンを余すところなく描く、という演出が可能になったのだ。

また、前作では電話帳でサラの住居を探していたのが、今回はパトカーに搭載された警察のネットワークにアクセスする、という方法に変わっている。電話口にいるのが本人に成りすましたターミネーターだった、という演出も前作と同じだ(ただし、T-1000は声だけでなく外見もコピーできる)。このように、前作のファンからすると節々に「進化点」を感じられる作りになっており、気持ちを高揚させてくれる。

アクションシーンにおいても、投げる→ガラスを突き破る、という演出が多数登場。ひょっとしたらキャメロン監督の趣味なのかもしれないが、『ターミネーター』でも多用されていたアクション演出がボリュームアップして描かれ、さらにはチェイスシーンはやっぱりタンクローリー、T-800が腕をはぐシーンは前作の手術シーンを彷彿させる。細かい部分だが、チェイスシーンでT-800がサラに「運転を代われ」と言うシーンは、前作のカイルのセリフと同じ。前作のT-800→T-1000、カイル→T-800という構造を示す意味でも、非常に有効だ。

ランボー/怒りの脱出』(85)の脚本、『エイリアン2』(86)の監督・脚本など、シリーズものに途中から加わることも得意なキャメロン監督だが、本作ではサブリミナル効果的に要所要所に前作のエッセンスを忍び込ませ、前作から7年空いたブランクをまるで感じさせない。説明ゼリフや映像に頼らない観客のスマートな誘導も、キャメロン監督が当代随一のヒットメーカーたるゆえんだろう。

監督としてだけでなく、プロデューサーとしてもキャメロン監督は超一流。本作の初期プロモーションでは、T-800が「良い」ターミネーターであることを隠すため、ジョンと一緒に映った映像をあえて見せなかったという。このエピソードからも、キャメロンがいかに観客の「心理」を真剣に考えているかが伝わるだろう。

当時の最新技術を結集させたT-1000

では逆に、本作の「新しさ」はどこだろう? 諸説あるかと思うが、本稿では大きく分けて2つを紹介したい。ターミネーターの「進化」と「深化」だ。ここでいう「進化」はT-1000、「深化」はT-800を指す。

まず、「進化」について。液体金属の身体を持つT-1000は物理攻撃を受け流し、超再生もできる無敵の存在。床に同化したり、T-800が変声しかできなかったのに対して外見からコピーできる。表情も豊かになっており、T-800のように朴訥とした物言いではない。より人間に近い存在となっており、故に「不気味の谷」現象(ロボットなどが人間に近づくほど嫌悪を抱く心理状態)に近い感覚を抱かせる。

前作のT-800が無感情の恐怖を抱かせたのに対し、より人間に近づいたT-1000には「冷徹さ」が垣間見える。その印象を強めるのが、T-1000の攻撃スタイルだ。身体を自由に変形して刃物にするT-1000は、銃をぶっ放して敵を倒すT-800に比べてより残酷だ。ジョンの里親が真っ二つにされるシーン、警備員が脳天を貫かれて殺されるシーンなど、前作の手術シーン以上にグロテスク。これらの影響もあって本国では前作に引き続きR指定を受けたが、T-1000のキャラクター造形のためには必要不可欠な残虐性だったといえるだろう。

また、このR指定に関しては、アーノルド・シュワルツェネッガーの安心材料にもなったという。シュワルツェネッガーは当初、T-800が善玉になるというアイデアに「T-800のイメージが崩れるのではないか」と不安を感じていたが、キャメロンがR指定ありきで構想していると知り、考えを改めたそうだ。

T-1000を演じたロバート・パトリックは、ハクトウワシの頭の動きを参考に、役作りを行ったという。また、全速力でジョンを追いかけるシーンで人間らしさを消すため、鼻だけで呼吸するトレーニングを積んだそうだ。その結果、走るのが早すぎてジョン役のエドワード・ファーロングが乗ったバイクに追いついてしまった、というハプニングも発生。

T-1000役ははじめ、ロック歌手のビリー・アイドルが予定されていたが、事故によりパトリックが務めることとなった。ちなみに、核戦争の引き金となるシステムを生み出すマイルズ役には、デンゼル・ワシントンがオファーされていたが、役柄に興味を持てず断ったという。

T-1000の裏話においては、サウンドデザインが興味深い。T-1000が金属の格子を通過する際の音は、ドッグフードの缶を使って録音されたのだとか。また、水銀のような状態の際には、小麦粉と水を混ぜたものをコンドームで覆ったマイクに吹き付けたという。T-1000が弾丸を吸収するシーンでは、ヨーグルトを使用したそうだ。

当時の最新技術をフル稼働させて生み出されたT-1000は、『ターミネーター』でのT-800のポジションをアップデートさせたキャラクターとしてだけではなく、独自性という意味でも実に画期的だった。

「心」をアップデートさせたT-800

「外見」が究極進化を遂げたT-1000に対し、「内面」が深化したのが本作のT-800。劇中、サラのモノローグにあるようにジョンの父親代わりとして活躍し、自身も「心」を学んでいく。「人が泣く気持ちがわかった。俺は泣けないが」というT-800のセリフに、前作と180度異なる優しさや哀愁を感じた方も多いだろう。

ターミネーター』では約60分をかけてT-800のキャラクターを構築していったが、本作では10分足らずで服とサングラス、バイクにショットガンといったおなじみのアイテムたちを手早く揃えてしまう。その代わりに時間を割かれるのは、T-800がジョンやサラと絆を育み、疑似家族の関係になっていくプロセスだ。

ジョンはT-800に「カッコいい」言葉やしぐさを教えるばかりでなく、「何があっても人を殺してはダメだ」という博愛の精神――人を人たらしめる道徳や倫理を伝える。このジョンのまっすぐな信念は、「大儀のためには殺人を犯すしかない」と考え、強戦士と化したサラにも伝播していく。

目的のため、合理的に対象を消去するのはコンピュータ的な考えであり、たとえ遠回りでも「話し合い」、無血を目指すのが人間なのだ――。ジョンが当たり前のこととして語る「殺人はダメ」という教えは、人類の最後の「意地」をも示している。彼が未来で人類のリーダーとなる人物であることを予感させる、上に立つ者の片鱗を垣間見せるシーンだ。

敢えて冒頭では不良少年としてジョンを描くという「マイナス面」からスタートさせ、母への不信が氷解するとき、彼の中心に高潔な心が戻ってくるという展開も見事。ジョン、サラ、T-800それぞれに“成長”へと至るステージが用意されており、3人が力を合わせて人類の危機を食い止めようとすることで、これまでには見られなかった「家族映画」へと進化を遂げる。これは、前作で叶わなかった「家族3人で共に戦う」というサラの想いも回収する展開であり、「少年とロボットの絆」で終わらない“深み”がある。

T-800の表情に変化が起こる点も重要だ。前半ではジョンの命令に従い、納得できないながらも「人を殺さない」ルールを守っていたT-800だが、武器庫で「これはいい」と銃を吟味し、ガトリングガンを見つけてニヤッと笑うシーンは、機械の領域を超えた自立を感じさせる。あくまでプログラムを順守する立場だが、そこに彼の「意志」も追随していくのだ。

作品全体を通しても、「機械は真の意味で『敵』ではない」というメッセージが強く伝わってくる。冒頭でジョンはゲームやスキミングマシンといった機械に慣れ親しんだ存在として描かれ、彼の中にある機械への偏見のなさが、人類の希望として光り輝いていく。サイバーダイン社に潜入する際も、窮地に陥った彼らを助けるのは機械だ。

サラのセリフにもあるように「悪いのはあくまで人間」であり、この思考によって、『ターミネーター』シリーズは前作のような二項対立状態から抜け出していく。心を学んだT-800だけでなく、サラもまた復讐から解き放たれて心を取り戻し、ジョンは母親と再会して心が安定する。平和への真の礎となるのは、武力ではなく「情」なのだ。

本作はあくまでフィクションでありエンターテインメントだが、「情の消失」が叫ばれる今だからこそ、作品に込められた平和へのメッセージに、特別な思いを抱かずにはいられない。未来は変えられる。運命なんてものはない(No Fate)のだ。

1991年製作/137分/アメリカ
原題:Terminator 2: Judgmant Day
配給:東宝東和

スタッフ
キャスト
  • T-800アーノルド・シュワルツェネッガー
  • サラ・コナーリンダ・ハミルトン
  • ジョン・コナーエドワード・ファーロング
  • T-1000ロバート・パトリック
  • アール・ボーエン
  • ジョー・モートン
  • S・エパサ・マーカーソン
  • カストゥーロ・ゲッラ
  • ダニー・クックシー
  • ジャネット・ゴールドスタイン
  • ザンダー・バークレイ
関連記事